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2021年1月3日日曜日

迎春——日本酒の話 その4


正月用に3本酒を用意しました。


まず開けたのは奈良県の「百楽門 菩提もと仕込純米原酒」

育ちが福岡なので、塩をしっかりきかせたブリの切り身、カツオ菜などの豪華な雑煮を食べます。鰹節・アゴだし・昆布・鶏肉・椎茸の濃厚な出汁にブリの切り身から塩と旨みがしみ出して、カツオ菜の青臭さがそれを引き締める。

それに負けないしっかりした味の日本酒を。
と思って選んだ1本なんですが (これまで飲んだことない)、これは外れ。
日本酒度 +10 という辛口酒。
こういう高い酒度の日本酒を初期に出したのは、たぶん秋田県の「刈穂」じゃないかと思います。
ずいぶん昔の記憶では、エビ料理がおいしい中華街の「ルパルク」に置いてあった唯一の日本酒が「刈穂純米超辛口」でしたね。
確かに中華にも負けないしっかりした味です。
以後、いろんな酒蔵が「超辛口」を出すようになったのですが、わたしの好みに合わないものが多い。無理矢理辛口にしてる感じで飲むのがちょっと辛い。
「百楽門」はその類でした。菩提もとという変わった酒母を使っているようで、独特のヨーグルト香があって、それは好みなんですが辛口の味とそぐわない気がします。
で、これは料理用にまわすことに。


すぐさま岡山県の「玉司 (たまつかさ) 古酒」に移る。
三年古酒で、しっかり飴色がかっている。
古酒独特の香りとねっとりとする濃厚さ。うまい。
「新春に古き酒開く 弱法師 (よろほうし)
酔っ払って柄にもなく、夏井先生なら凡人評価まちがいなしの一句をひねり出しました。
ただアルコール度数が高いこともあってスイスイとは飲めない。



で、最終的に落ち着いたのが鳥取県の「鷹勇 強力純米七割磨き」
大当たり。
味の系統はまったく別ですが、年末に飲んだ「月の輪 秋あがり」に匹敵するうまさだと思いました。思わず「うーーーーーん」とうなり声が出てしまう。
「鷹勇 強力」については 「日本酒の話」で書きましたが、
「強力 (ごうりき)」は(彩芽ではなくて)絶滅しかかっていたのを復活させた酒米の名前です。
いちばん有名な品種は「亀の尾」でしょうが、「強力」もそのひとつ。
ただ今回開けたのは、「日本酒の話」で触れた「鷹勇強力」とは違う精米歩合70%の限定品です。
こういうあまり精米してないうまい酒は、いろんな味の粒子がチリチリと漂っている感じがします。こいつもそういう感じで、酸味と甘みの質が実にすばらしい。口に含むと笑みが浮かぶおいしさでした。

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