今日ほど国辱を感じたことはない。
安倍首相とオバマ大統領の会談だ。
阿倍はアメリカへの地域を限定しない軍事協力を表明した。
オバマはそれを日米「同盟」alliance の新しい一歩だと言った。
日米安保条約は「同盟」ではない。
いつのまにそれを「同盟」にすり替えたのか。
地域を限定しない軍事協力をアメリカが歓迎するのは当然だ。
アメリカは世界各地の軍事活動で経済的にふうふう言っている。
自国の正規軍を出すと戦死者が出て国内の反発が強いから、
プロの軍隊を金で雇って必死にやりくりしている。
経済的負担が重すぎる。
それを日本が無料で肩代わりしてくれるというのだから渡りに船だ。
わたしが言うまでもなくすでに内田樹が指摘しているとおりです。
傭兵の肩代わりをするだけなのに、
阿倍が誇らしげに笑みを浮かべている。
あろうことか、
ダイアナロスの「Ain't No Mountain High Enough」の歌詞を引用した。
コケティッシュに娼婦を演じる女性が
「いつでも電話してね。わたしはすぐ駆けつけるわ」
と恋人にアッピールする歌だ。
ダイアナロスは娼婦を「演じている」自覚を持って歌っているからキュートで品がある。
引用した阿倍はそのことをまるでわかっていない。
わかっていないから演じないで本気で娼婦の歌詞をオバマに伝えた。
「Ain't 」という英語を政治家が公の場で引用すること自体の恥もわかっていない。
ダイアナロスを引用したときの聴衆の笑いが「失笑」であることをわかっていない。
暖かい笑顔であると勘違いしていたふしがある。
要するに今日、阿倍は公の場で日本がアメリカの娼婦であることを世界に向かって宣言した。満足げに微笑みながら。
そういう記念すべき一日だった。
わたしはこの日を忘れない。
のちの時代もこの日を屈辱を以て思い出すと思う。
そういう感覚を「今この場にいる」わたしたちは持つべきじゃないのか。
今日国辱を感じなかったとすればあまりに鈍感すぎる。