関東ではバラの一番花の季節です。狂喜乱舞するロザリアンたちのブログに自慢のバラの写真があふれる季節です。わが家でもやや遅れ気味ですが咲き始めました。
今年のバラはあまり期待していません。
「パイエーケス人の園」(前口上参照)を離れ、3月末に新居に引っ越してきました。
植え替えの時期を過ぎていたのですが、やむを得ず地植えのバラを強引に鉢植えにして運んできました。
|
引っ越し当日のパイエーケス人の園 |
「パイエーケス人の園」は広い庭のある借家でした。左の写真がそのアプローチ。平屋のまわりに100坪を超える薔薇園を作り、やがて来る終わりの時を想って「パイエーケス人の園」と名づけました。終わりの時は意外に早くやってきました。
|
トラックに乗るのを待つ鉢植え |
数千冊の本を含むトラック4台分の膨大な荷物には絶望的な気持ちになりました。その整理と片付けは当分終わりそうもありません。バラの手入れにかける時間がなくて、水をやる・虫を手で殺す・米ぬかと肥料を撒くだけでしたが、それでもバラは咲いてくれます。
|
エグランティーヌの蕾 |
さて、「パイエーケス人の園」をあとにして新居で咲くバラたちの紹介です。デヴィッド・オースチン作のイングリッシュ・ローズ「エグランティーヌ」。柔らかな花色と包容力のある花型。しかし頑健です。日当たりがよくない場所でも咲く。わたしは蕾の形が好きです。
|
ラリー・ダニエルズ |
廃園で再発見されたオールド・ローズ(「ファウンド・ローズ」というグループです)の「ラリー・ダニエルズ」。同じピンクでもこちらは透明感があります。花弁もより薄い。
花束に使うようなバラを「モダン・ローズ」と言います。
「オールド・ローズ」は古い品種群で、おおまかに言えば、モダン・ローズに較べて花弁の数が多い、花弁が薄い、花首が細い、花持ちが良くない(だから花束に使いにくい)といった特徴があります。香りが良い。風情があります。
オールド・ローズの花型とモダン・ローズの四季咲き性を併せ持つ「モダン・シュラブ」は、デヴィッド・オースチンの「イングリッシュ・ローズ」シリーズをきっかけに世界に広がりました。ドイツのタンタウ、コルデス(デヴィッド・オースチンとならんでわたしがいちばん好きな育苗家)、フランスのギヨー、デルバール、メイアンなど、名だたる育苗会社が腕を競って新品種を作出しています。
上の写真はギヨーの「ヴェルシーニ」。アプリコット〜ピンクに微妙に変化する色合い。
葉に黒点病が出ていますが、真島康夫の『バラの診察室』を読んで以来、わたしはほったらかしにしています。土をきちんと作ればちゃんと咲き続けます。
オールド・ローズの「スヴェニール・ダルフォンス・ラバレー」。パイエーケス人の園でアーチに絡ませていたのを乱暴に切り詰めて持ってきました。深い花色と良い香り。次から次に蕾が上がってきます。日が経つと手前の花のように紫がかってくる。
新居でもこれから立てるアーチに絡ませるつもりでしたが、花は上向きだし、こんな感じで切り詰めておこうかなと考え直しています。
「ツーヤンフェーウー(紫燕飛舞)」。英名もありますがこちらの名前の方がイメージ喚起力があって好き。剛健で花付きがよい。半日陰でも咲く。そしてきれい。
イングリッシュ・ローズの「ヤング・リシダス」。買って一年なのでまだ株が小さい。花首が細いので高く育てて上からしなだれさせたい。しかしこうやって上下に並べて見ると「ツーヤンフェーウー」と似ている。日が経ってからの色の変化はまだわかりませんが、今のところ、やや繊細さに欠ける印象です。
個性的なコッパーオレンジのイングリッシュ・ローズ「パット・オースチン」。鮮烈でスパイシーな香り。大輪で目立つだけではなく、微妙な色合いの変化があります。かなり好き。
横から見た姿の美しいこと! まさにカップ&ソーサー。
そしてイングリッシュ・ローズ「フォルスタッフ」。堂々たる花型、深い色合い、高貴な香り。大輪で王者の風格があります。これも一年目で株は小さいのですが、アーチに上らせる予定。
日当たりの状況などをじっくりと観察して冬にすべての鉢植えを地植えにします。
水やりが面倒なのでもともと地植えにするつもりだったのですが、観察していて地植えにしなければ大変だとわかりました。
新居は、建て売り10数棟がかたまっているうちの一棟。
どの家も庭がほとんどないので建て込んでいます。
日当たり良くない。
そして何より風が強い。
ミニ・ビル風状態で、鉢が倒れる。風で鉢が乾燥するのが早い。
地植えにして壁に登らせないと、根張りと日光を確保できなさそうです。
おもしろいのは、風が強いので虫が少ない。吹き飛ばされるんだと思います。