(ネタバレあり。注意)
正月特番の2時間スペシャル。
「ファンタスマゴリ」で酷評した真野勝成を見直しました。
ダレたところがない脚本。
『相棒』についてはいろいろ書いてきました。
わたしとしては「感想」ではなく「批評」をしてきたつもりなのですが、
今回の「英雄」は秀作だからきっと多くの『相棒』ファンが記事を書くと思いますので、屋上屋を架すことは避けたい。
あらためてストーリーを紹介してあれこれ書くのは控えて、初めての「感想」めいた投稿をすることにします。
リアル・ポリティクスのおぞましさを描くという点で『相棒』は傑出していると思う。
木村佳乃演じる片山雛子はそのおぞましさを具現するキャラクター。
今回の片山雛子、なかなかの存在感。
今回は、Season8の「カナリアの娘」、Season9の「亡霊」の後日談。
爆弾魔のテロリスト本多篤人(ほんだあつんど)が三たび登場します。
すばらしい最期。
右京は、殺人犯の動機を理解しつつも、
殺人が不毛の行為であることを全力で犯人に説得する。
「あなたたちにはわからない」と叫んだ犯人の病室から立ち去る右京たちに、
しかし犯人の号泣が聞こえてくる。
右京の説得が通じたことを説明なしに間接的に伝えているところがいい。
お涙ちょうだいにしていない。
それから右京と冠城亘の相棒関係の進展が良い。
今回の重要な鍵となる「願い石」。
石を割り符にして二人がペンダントとして持つ。
奇しくも右京と冠城は願い石を共有することになる。
二人は今回晴れて「相棒」になったわけです。
が、コーヒーに誘う冠城に右京は「いや、わたしは紅茶で」と断る。
そういう二人の距離もまた「飲み物」という物質を通じて描かれているところが、
『相棒』の本道を行っています。
唯一の小さな謎は、
音越議員の秘書がいったいどういう存在だったんだろうかということ。
彼がいたからこそ決定的瞬間に犯人は音越に近づくことが可能になった。
そうなんだけれど。
彼が音越議員にどういう思いを持っているのか。
彼と犯人がどういう思いを共有しているのか、あるいは共有していないのか。
それが曖昧なままだったように思います。
鞘師九一郎、かっこいいぞ。
0 件のコメント:
コメントを投稿