(ネタバレ注意)
最終話2時間スペシャル。
早めに夕食を済ませ、スペインの赤ワインを開けて臨みました。
連続傷害犯「ダークナイト」は甲斐亮だった。
それは最初から予想がつくことです。
それをどのように膨らませるか。
そこが『相棒』の『相棒』たるゆえんです。
みごとに膨らませた、と思います。
悪人を成敗するヒーロー「ダークナイト」。
甲斐亮がなぜその道を選んだのか。
その動機を単純に結論づけませんでした。
「法による正義は守り続けなければならない。
それが警察官の存在意義だ」
一貫した杉下右京の信念と、
「法は万能か」という誰もが抱く疑念の道を選んだ甲斐亮とが並列して対比される。
双方に勝敗をつけないところが余韻となって残ります。
オープンエンド。
甲斐亮はダークナイトを選んだのだけれど、
相棒として杉下右京と過ごした時間と経験は残る。
その時間と経験の重みも間接的に伝えています。
「間接的に」という意味は、
甲斐亮と杉下右京当人たちではなく、
伊丹や芹沢や米沢や角田などの周辺の人物たちの、感傷に走らない、でも胸をえぐられているようなことばの端々から伝えられる。
甲斐亮の父親もいい。
それから甲斐亮の恋人笛吹悦子(うすいえつこ)も。
入院中のベッドでダークナイト事件の情報を繰り返し見ている様子が、
結末へのさりげない伏線になっている。
右京と甲斐亮の空港での別れも抑え気味の演出なのがいい。
伊丹と芹沢のお辞儀がいい。
護送される甲斐亮の回想場面もみごとなセレクション。
甲斐亮が拘置所の偽ダークナイトに逃走経路を教える点がプロットの穴です。
訪問記録が残らないわけがないから一発で足がつくはず。
でもそういうプロットの穴を埋めるだけの奥行きがありました。
甲斐亮は歴代相棒でいちばん違和感があって、それは多くの人も感じてるらしい。
彼を長く続けるわけにはいかなくなった、というような事情はあるのでしょう。
でもそういう楽屋裏を抜きにして、
ドラマとしてなんときちんと決着をつけたのだろうと思います。
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