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2020年12月18日金曜日

ブルックス・ブラザーズ

いささか旧聞に属しますが7月にアメリカのブルックス・ブラザーズが破産しました。
ボタンダウンのシャツをはじめて出し、歴代大統領の多くが愛用したアメリカの伝統的ブランドです。わが国のブルックス・ブラザーズは存続するようですがやはり寂しい。

ブルックス・ブラザーズはシルエットが好みではないので、スーツやジャケットは持っていない。でも、ずっと好感を持っている店です。

きっかけは。
十数年前でしょうか。
謝恩会の会場に向かう途中で締めているネクタイがつまらなく思えてきて、蝶ネクタイにかえることにしました。その頃のわたしは、結んであってフックで止める蝶ネクタイしかしたことがなかった。
会場ホテルの近くのデパートに飛び込んで、まずバーバリーが目についたので事情を話したら、店員は「うちにはそのような蝶ネクタイはおいておりません」と馬鹿にしたような口調で言った。
もちろんフックで止める蝶ネクタイが本式じゃないことは知っている。
だけどその態度はないだろう、と腹が立った。

隣にブルックス・ブラザーズがありました。
そこにも結ぶ蝶ネクタイしか置いてなかった。だけれども。
ブルックス・ブラザーズの店員さんは、
「結ぶの、そんなに難しくないですよ。それにわたしが結んでさし上げます」
と言って、結び方を説明しながら手際よく結んでくれて、
しかもパーティーの場で万が一緩んでしまった場合にどうすればいいのかも教えてくれた。
なんという違いだろう。
わたしはイギリスじゃないアメリカの良さを実感しました。いい店。
ものを知らない客だろうと洋服というすばらしい世界に引き入れるのだという心意気。
以来、蝶ネクタイを結べるようになりました。

ボタンダウンのシャツをあまり着ないこともあって、ブルックス・ブラザーズあまり持ってません。でもボタンダウンならブルックス・ブラザーズを買います。襟の形が立体的で美しい。
そうそう、上に書いた店員さんに「ブルックス・ブラザーズはボタンダウンのシャツで有名なのに蝶ネクタイ置いてるんですね」と言ったら、その店員さんは、
「いや、ボタンダウンに蝶ネクタイはありなんですよ。かえって面白い組み合わせだと思います」と教えてくれた。


襟がちゃんと見えないのですが、写真のボタンダウンのシャツとタイはブルックス・ブラザーズ。
上に書いたようにシルエットが好みではないのでポールスミスのスーツと合わせています。
小紋のネクタイも数本しか持ってないのですが、店頭でこのブルックス・ブラザーズの緑の色合いにガツンとやられて、それに合わせて紫のシャツを選びました。

つかず離れず好きな店、という感じでしょうか。



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