言うまでもなく、1997年、長野オリンピックで日本人として初めて冬期五輪で金メダルを獲得した偉大なスポーツ選手だ。
里谷多英は、その表彰式で帽子をとらなかった。
そのことが無礼な行為であるという抗議が日本オリンピック委員会に殺到し、マスコミも彼女を責めた(もちろん全部を把握していませんが、わたしが目にした範囲ではそうでした)。
その後もそのことを批判する人はあとを絶たないし、この引退会見を機にブログやツイッターなどでも「帽子事件」に触れる発言がきっとたくさんあると思う。
あのとき里谷多英の帽子について思ったことを遅ればせながら書いてみたいと思います。
里谷多英が表彰式で帽子をとらなかったことは、礼儀知らずで無礼な行為でしょうか?
わたしはそうではないと思う。
それどころか、帽子をとらなかったことを責める人の方が礼儀知らずだと思う。
スポーツウェアは洋装ですから、洋装のエチケットが適応される。
エチケットに従えば、室内や敬意を表すべき場面では、少なくともツバのある帽子はとらなければならない。
男性は、です。
女性の帽子は体の一部と見なされるので取る必要はない。
国旗の前でもです。
どころか、女性に脱帽を要求する人間は
「裸になれ」と言っているのと同じくらい無礼な人間だと見なされます。
これは洋装の常識です。
妃殿下や女王陛下が国旗の前で脱帽するのを見た人がいますか?
こころみに里谷多英の帽子事件に触れている英語のブログやサイトをざっと見てみましたが、
「里谷多英は表彰式で脱帽しなかったことを日本で非難された」
という内容のものはありましたが、
「脱帽しなかったことが礼儀知らずである」
という内容のものは見つけることができませんでした。
どなたか見つけた方は教えてください。
わたしが見た限りでは、英語圏では里谷多英の帽子事件は無礼な行為だと見なされていません。当然だと思います。
帽子事件に対する全国的な反応は、おそらく里谷多英さんに大きな傷を与えたと思う。
ほかの要素ももちろんあるだろうが、
週刊誌に報道された私生活での「乱行」の背景にも(それが事実だとすればの話だが)、帽子事件以後の世間の理不尽な反応の傷があったのだと想像する。
わたしは当時、マスコミの帽子事件の報道の仕方はおかしいと思いました。
何よりもファッションを仕事にしている人間がなぜ里谷多英を擁護しないのか不思議でした。日本オリンピック委員会が抗議に対して謝罪したのも解せませんでした。
「女性に脱帽を求めるのは礼儀知らずの人間だ」と言うべきなのに。
ブログやホームページはわたしには縁遠い時代でしたから、新聞の投書くらいしか発信手段を思いつけませんでした。あまりに遅ればせながら里谷多英さんの擁護をしてみた次第です。
里谷多英さん、遅れてすまなかった。