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2026年3月21日土曜日

どうなる? 「リブート」

(ネタバレあり)

サスペンスに満ちたTBSのドラマ「リブート」、結末が近い。

鈴木亮平の二役で話題になったが、脚本そのものの質が高いと思う。


家族経営のケーキ屋のパティシエ早瀬陸は、妻殺しの容疑者になる。

妻夏美は、行き場のない子どもたちの保護施設「しぇるたー」にケーキを届けて支援する「善意の人」の裏側で、闇のバンカーのリーダー合六 (ごうろく)の組織の一員。早瀬陸はそのことをまったく知らなかった。

さらに夏美は、合六組織の金を、これまた合六組織の一員である悪徳刑事・儀堂 (ぎどう)と共謀してくすねていたらしい。夏美は殺され、儀堂 (ぎどう)は夫の早瀬陸をその犯人として捜査していたが、彼もまた殺される (実は殺されてないのだけど)。

身に覚えのない妻殺しで指名手配された早瀬を、合六組織の一員である幸後一香 (こうごいちか) は、なぜか、整形手術で儀堂 (ぎどう)そっくりに再生 (リブート)させ、刑事儀堂になり変わらせる (だから鈴木亮平の二役)。

刑事儀堂になりすました早瀬陸は、合六組織内部で (彼はその一員だったので)妻殺しの真犯人を突き止めてなんとかして家族のもとへ帰る (=パティシエに戻る)ことを目指す。早瀬と妻を失ったケーキ屋を支えているのは、体を壊している老母と早瀬の息子だけだから。

儀堂=早瀬は、真意をはかりがたい一香(いちか)と組むことにする。

一香は難病の妹を抱えていて、海外で妹に治療を受けさせるために多額の金を必要としている。家族の苦難を打開するという一点で、儀堂=早瀬と一香は組んだ。

しかし、儀堂=早瀬の探索は一筋縄ではいかない。一香の言動は謎めいている。

あろうことか、殺されたはずの本物儀堂が生きていた!!


複雑なストーリーの大枠は以上のようなものでしょうか。


その大枠自体がサスペンスに満ちているんだけれど、闇のバンカー合六(ごうろく)とその組織がほんとに恐ろしい。

サスペンス物のできを左右するのは悪役。

同時期に放映されていたテレ朝の「お米の女」がつまらなかったのは、どの悪役もちんけな小物だったから(唯一の見どころは毎回出てくる日本酒だけ。初回に「花巴」が出てきたのには「おっ! やるじゃないか」と思いました。)。

「リブート」の、とりわけ前半の合六の非情はほんとに恐ろしい

裏切り者だと確信すると、クールな表情で見事な料理をつくって「冷めないうちに召し上がってください」と差し出す。料理で引導を渡すわけです。悪徳弁護士海江田にオマール海老(だったと思います。伊勢海老?)を振る舞う場面は、直後に、それまではほんとにしたたかだった海江田が恐怖の表情で引き立てられていく名演技と相まって秀逸でした。

その合六は、儀堂がリブートされた早瀬であることをまだ知らない。

儀堂の正体がいつばれるのか? それが前半のサスペンス。サスペンスのひとつの舞台 (場) が早瀬のケーキ屋です。

老いの体でひとり店を支える母。そして早瀬の小学生の息子拓海 (たくみ)

儀堂=早瀬は店を訪れては(当然ですが正体を明かさずに)家族を見守り、ケーキ好きの客としてレシピのアドバイスをする。あろうことか、本物儀堂の妻、麻友もケーキ屋の常連となり店の手伝いをし始める(さらには一香まで店に出入りし始める)!

麻友は、本物儀堂が合六組織の一員であることを知らなかった。だがふとした瞬間に儀堂=早瀬に抱きついたとき本物儀堂ではないことに気づく。問い詰められた儀堂=早瀬は、自分が早瀬であること、本物儀堂が悪徳刑事であり、殺された(ほんとは殺されてないのだけど)ことを麻友に明かす。


本物儀堂の登場によってサスペンスはさらに加速します。


本物儀堂は合六組織の金庫番・一香を脅して、合六の100億以上の金を奪った(つもりだった。ここが「リブート」のストーリーの複雑さ)。 

怒った合六に問い詰められた儀堂=早瀬はついに自分がリブートされた早瀬であることを明かす。

合六の前に本物儀堂が連行される。二人の「儀堂」!!

ここで本物儀堂が予想外の行動を取る。早瀬ではなく、自分が合六に殺される選択をするのです。そして妻麻友を守ることを儀堂=早瀬に託して、(ようやく)ほんとうに殺される。

実は100億の金を奪ったのは一香。彼女は本物儀堂を欺いて金を手に入れていた。


前回までのストーリーの枝葉を省きに省いたのがわたしなりの上の要約です。わかるように伝えられたでしょうか? どんでん返しのどんでん返しの連続。


で。前回。さらなる圧倒的などんでん返し。


一香は、リブートされた儀堂=早瀬の妻・夏美だった!!

この大どんでん返しは、しかし、

「どうだ。ここまでは予想できなかっただろう?」というケレン味のどんでん返しではありません。

そうではなくて、これまでの展開をまったく違う視点からふり返らせるような、そしてふり返ったときに一香の深みに気づかせるような、そういうどんでん返しだと思います。

本物一香は、夏美の整形手術と一香になり変わるための教育を終えたときに、合六の部下たちに殺されます。

一香=夏美だと知ったとき、わたしたちはそれまでの謎と矛盾に満ちて見えた彼女の言行をはじめて理解します。


回想場面で示される、疲れ果ててベッドで寝入った儀堂=早瀬の傍らに一香が寄り添う場面。

そして難病を抱える妹に、にせ一香であるのに「ほんとうの姉」として接してきた夏美。100億の金を合六からくすねたのも妹に治療を受けされるため。夏美は、本物一香の死を引き受けて行動してきたのです。そのことにわたしたちは打たれる。


合六の部下たちに追われる一香は絶体絶命。

ビルの上階でぶら下がる一香の手を儀堂=早瀬はつかんで引き上げる。セリフは一切ありませんが、この瞬間に儀堂=早瀬は一香が妻夏美であることを最終的に確信します(抱きついた瞬間に麻友がにせ儀堂であることを確信したように)。

引き上げられた一香は、「なぜ助けた。そんな甘さではわたしがいなくなったあと生き延びられないぞ」と言い残して立ち去る。


儀堂=早瀬は、これまでの謎めいていた一香の行動を理解したのだと思う。

だとすると。

儀堂=早瀬もまた、本物儀堂の死を引き受けて行動するのではないだろうか。それはどのような行動だろう?


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