顔に傷を負った少年影山将 (まさる) に声をかけた右京と亘は、
意外にも「僕より僕の友達を助けてください!」と訴えられる。
一方で激安スーパーの豪腕社長小峰裕司の息子翔太が、
大槻健太と菓子職人・安村剛(つよし)に誘拐され、安村のアパートに監禁される。
右京と亘は誘拐事件に安村が関係していると(なぜか)察知して身辺をうかがい、
翔太が監禁されていることを確信する。
誘拐事件と影山将少年の関係はなんなのか?
そういうストーリーでした。
ストーリーは淡々と進む。
淡々とした描写の中にしかし謎がちりばめられている。
アパートに監禁されている翔太は脱出可能なのに脱出していないし脱出を試みる様子もない。
それが映像だけで示されているところが説明臭くない。
淡々と進んだストーリーが最後の15分で圧倒的な展開を見せる。
視聴者は将 (まさる) 少年が言っていた「友達」が翔太だと思ったと思う。
将はなんらかの理由で誘拐計画を知って右京と亘に翔太を助けて欲しい、
そう言ったのだと思ってしまう。
最後の15分間の「圧倒的な展開」と書いたのは、
翔太と大槻が計画した偽装誘拐事件だった、という推理ドラマとしての展開ではありません。
将が言っていた「友達」は安村剛だったということです。
義理の父から暴力を受けていた将は、はじめて剛にその事実を話し、救われる。
少年とうだつのあがらないおじさん。
でも二人は「まさる君」「つよし君」と呼び合い、安村の部屋で人生ゲームをする。
将は誘拐計画を立ち聞きして安村にやめるよういさめたが、
安村は聞き入れずに将に絶好を宣言した。
小峰家の殺伐とした親子関係。
息子翔太が父から金をせしめようとしたのはある意味で必然です。
対照的に、
血のつながりもなく、年も離れた赤の他人の「まさる君」「つよし君」のあいだにほんとの友情が成立していた。
尋問室に将が現れ、安村に抱きつく。
この場面はいくらでもメロドラマにできたと思います。
だけれど瀧本智行の脚本はメロドラマにしていない。
よけいな説明をしない。
将は安村に抱きついて「つよし君」「つよし君」と言うだけ。
おじさんに抱きついて「君」と呼ぶ将少年の簡素な台詞に、
二人がこれまで培ってきた絆が爆発していた。
回想として安村が書き換えた「人生ゲーム」の貼り付けのアップも効いている。
シーズン19で最高だと思いました。
星三つ。
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