2014年8月27日水曜日

2014夏・ギリシア(その2)

旅程二日目に入る前に、アテネのホテル「アレトゥーサ」の重要な補足情報を。

便利で親切なホテルですがひとつだけ困った点があって、
わたしと妻はここで南京虫(なんきんむし)にやられました
強い虫刺されの塗り薬を持参していたので、旅行中は手首から二の腕のあたりがちょっとかゆいなくらいだったのですが、帰路の機中くらいから肩まで広がりました。帰国後妻が受診した皮膚科の先生は一目見て「あ、南京虫ですね。トコジラミですよ」と言いました。念のため、家にバルサンを焚かなくてはなりません。とんだ災難です。

途中でデルポイに一泊し、最後に「アレトゥーサ」にまた1泊したのですが、
今考えると、最初に泊まった部屋が怪しい。2番目の部屋はとても清潔でした。
部屋にもよるのでしょうが、次回は近い場所の別のホテルにするかな。

二日目はエギナ島(アイギナ島)へ。
なお、このように固有名詞のうしろに似た音の(  )がついている場合は(  )内が古代ギリシア語です。


8月17日 エギナ島 → アテネ(アクロポリス美術館)


朝、地下鉄でアテネの外港ピレウスへ。

ずらっとならんだ切符販売店(屋台から立派なオフィスまである)のどれでどういう船の切符を買えばいいのかわからないので、とりあえず、立派なオフィスに入って
「エギナ島に行きたいのだが」
と言い終わらないうちに
「何時?」。
(ちなみにわたしは現代ギリシア語はたいしてできないので英語です。だいたい英語が通じますが、バスの運転手とかキオスクの店員とか人によっては通じない場合があります)

行きはふつうのフェリー、帰りは高速のホバークラフトに乗ることにしました。

フェリーは大型の「アルテミス号」。
K先生のツアーでは小さ目の船だったのでやや高価な選択だったかなと思ったのですが。

アイギナ島に向かう。波しぶきが
かかる。防水カメラで良かった!
正解でした。

この日は雲一つない晴天でしたが海が荒れていて、高いデッキまで波しぶきが飛んできます。小型の船ではもちろんデッキには出られなかったでしょうし、揺れが尋常ではなかったろうと思います。

旅をすると、相手に対することばを超える想像力に出会うことがしばしばあります。

たとえば、
デッキから近づくエギナ島の写真を撮ろうとすると、
ギリシア人の家族連れがさりげなく身を引いて画面から消えてくれる。
こちらもニッコリ微笑んで礼を返す。

そういう阿吽の呼吸の身体感覚、というのでしょうか。

どこの国にも多かれ少なかれあるものなのでしょうが、
地中海、特にギリシアでは特にそれを強く感じます。

ことばを連ねてしゃべり立てる文化である一方で、ことばを超える社交の身体感覚も発達している。旅人も少しずつその感覚を身につけていかなくては失礼だな、と思いました。
まあ、身体感覚を鋭敏にしておくことは旅の基本かも知れませんが。

ピレウスから1時間ほどで港のあるエギナ・タウンに到着。
ザバザバ波が洗う船着き場をおっとっとっという感じで(古いか)すり抜け、
旅行案内書と昔の記憶を頼りにバス停に。

とりあえず「ナオス・ティス・アフェアス(アフェア神殿)」と確認して切符を買い時間を尋ねると、切符売りのおばちゃんは「白いバス。すぐ来る」とだけ。

売り場の横に一応時刻表があり、それによると40分以上時間がある。
ほんとうに「すぐ来る」のだろうか、と不安に思っていたら、
なぜか通りがかったおじさんが「ここにすぐ来る」と言って立ち去っていく。

5分ほどでほんとに来た。うーむ、時刻表はどうなってるんだ。


狭い山道をバスは猛スピードで走る。
両脇はきれいに塗装されたこぢんまりした家とピスタチオ畑(エギナ島はピスタチオで有名です)。ピスタチオの実が赤く色づいている。

途中に聖ネクタリオス修道院というとても美しい修道院があって、そこで降りる観光客も多い。かわいそうに、中学生くらいの男の子が降りるときに戻していた。何しろ激しい運転だったから。(なのでわたしも車窓の景色を撮る余裕などありませんでした)



アフェア神殿(アパイア神殿)は、前5世紀初頭に建設されたアルカイック後期神殿の傑作です。アテネの現存するパルテノン神殿より古く、割によく保存されています。
松林越を抜けて神殿に近づく

わたしが訪問するのは3度目。前の2回は年末~年始の冬でした。
冬空を背景に柔らかく輝く石柱はそれはそれはエレガントで、わたしの大好きな神殿なのですが、


初めて見る夏のアフェア神殿は圧巻でした!

青い空に輝く柱!
信じられない深い青の空をバックに、強烈な日差しを受けて柱が照り輝く。
神殿東側
神殿西側

まるで白い衣をまとった女神アパイア(アルテミスだと言われています)のよう。

空と柱の強烈なコントラストをまわりの黄緑がかった松の葉が絶妙に和らげる。

日本とは違う形と
色合いの松
遺跡からの見晴らしもすばらしい。
北に本土が見える。

神殿近くにあるアフェア考古学博物館は行ったことがありませんでした。
小さいけれど松に囲まれたいい博物館です。

神殿のペディメントの装飾の一部などが展示されています。






東ペディメントの射手
西ペディメント
中央の女神アテナ


じっくり見ても10分足らずで見終われる。(ちなみにトイレはこの美術館の奥にあります)

博物館に行ったおかげで、今までと違うアングルから神殿を見ることができました。
西側から遠目に見上げる感じで見るアフェア神殿もまた美しい。


神殿西側遠景
ゆっくりと見学して遺跡前のバス停で待ちますが、バスは来ません。

ようやくやって来たので「エギナ・タウン行きか?」と聞くと
「違う。アギア・マリーナだ」。
「じゃ、もどってくるのか」
「そうだ」。

アギア・マリーナは遺跡のすぐ先にあります。
でもなかなか戻ってこない。

まあ、アテネと違って空気がさわやかだし、
バス停は松の緑に囲まれ、美しい海も遠くに見える。

つらい待ち時間ではなかったのですが、
それにしてもバスが戻ってきたのは50分後。
運転手は軽食とお茶を楽しんできたのではないだろうか。

教訓。
エギナ島のバス時刻表は無意味である
(10分や20分のバスの遅れはギリシアではざらですが、エギナ島の場合は「遅れ」なのかどうかもわからない)
しかしなんとかなる。

エギナ島見学はそれを考慮に入れて計画した方がいいです。特にアテネに帰る船は、余裕のある時間の便をとっておかないと間に合わないかもしれません。


ギリシア語できなくても
これがあるから大丈夫
エギナ・タウンに戻って遅い昼食。
海辺に沿ったカザンツァキ通りの「エコノムー」という店に入りました。
バス停や船着き場から来ると「アルファバンク」の2,3軒先です。

サラダ、タコ、ツィプラという鯛。
飲み物はギリシアの地酒レッツィーナ。

タコは期待していたオリーブオイルで揚げたやつじゃなくて塩焼き。
ぶっとい足なのにフワフワ
それでも岩にたたきつけたタコは柔らかくて十分満足。
(ギリシアではタコを岸壁にバンバンたたきつけて柔らかにします。くたくたになったタコがシーフードレストランの店先につり下げられてたりします。)

鯛も塩焼きでした。
店の看板をふと見ると「エスティアトリオン」とあります。「エスティア」はたぶん古代ギリシア語の「ヘスティア」(かまど)。ここは「焼き物屋」なんだと気づきました。だから揚げ物が少ない。料理はどれもふつうにおいしかった。


ここでいちばんすばらしかったのはレッツィーナ。
白ワインに松ヤニを加えたもので、独特の臭みがあります。たいてい自家製のものなのですが、この店のは今まで飲んだ中でいちばん上品。
松ヤニが強くなく柔らかな味。荒々しいレッツィーナにもそれなりの魅力がありますが、海辺を見ながら飲むこのレッツィーナの優雅さは初めての経験。
レッツィーナ初体験の妻も娘もたいへん気に入ったようです。

帰りの高速艇は、風が強いこともあってほとんどジェットコースター状態。
約45分でピレウス港に帰り着きました。


アクロポリス美術館は夜8時まで開いているので(入場は7時まで)まだ十分時間があります。地下鉄でアクロポリ駅まで行き、降りるとすぐそば。

昨日見たパルテノン神殿の東西ペディメントの彫刻と列柱上のフリーズの多くは現在、大英博物館にあります。ギリシアはその返還を要求していて、返還後にそれを展示するために建設されたのがこの(新)アクロポリス美術館です。
だからデザインも気合いが入っている。トイレも立派です。

最上階がパルテノン神殿と同じ向き・大きさの展示になっていて、ちょうどパルテノン神殿の最上部をぐるりとまわりながら見物するような仕掛けになっています。
しかも大きなガラス窓から当のパルテノン神殿が見える。
(売店とカフェの奥に大きなバルコニーがあって、そこからもアクロポリス南壁とパルテノン神殿が見えます。)
バルコニーから見えるアクロポリス
2010年末に訪れたときは、大英博物館に「持ち去られた」部分が濃いグレーのプラスチックで再現されていて、「イギリスよ、早く返せ」という露骨なメッセージになっていたのですが、今回はやりすぎだと思ったのでしょうか、より目立たない淡い色のレプリカに変えられていました。
エレクテイオン。
柱の女神たちはレプリカ
こちらは本物

でもこの美術館の現時点での目玉は、同じアクロポリスにあるエレクテイオンのカリアティデス像でしょう。
あの有名な、屋根を頭で支えている女神たちの柱です。

この像、背後がすごい。髪や、屋根の重みに耐えているかのように、わずかに湾曲した背中の曲線など。
美しい背面!

「ビザンティーノ」
美術館を出て、夕暮れのプラカに向かいます。
今夜はキダシネオン通りの「ビザンティーノ」。
ネットの日本人旅行者のアテネ料理店人気No.1だそうです。
わたしもK先生のツアーで来たことがあります。

サラダ、タラモサラダ、キャベツのドルマデス、ムサカ。

タラモサラダは、マッシュポテトとタラコをオリーブオイルとレモンであえた前菜で、パンに塗って食べます。ここのはタマネギを効かせてあってとてもおいしいと思いました。


ムサカは悪くないのですが、妻と娘はわたしが作るムサカの方がおいしいと言いました。
わたしもそう思います。
しかし、わたしの腕がすごいのではなくて、わたしが再現しようとしているクレタ島イラクリオンのムサカがすごいのです(「ムサカの作り方」「ムサカ・コクふわバージョン」参照)。
20数年たった今でも思い出せる味です。

(残念なことに場所も店の名前も忘れてしまいました。ネットで探すと、ダスカロヤニ広場 Plateia Daskalogiani のイカロスIkaros が記憶の場所に近い気がするのですが。どなたか「あの店のことか?」と心当たりがあればお知らせ下さい)

ベシャメルソースの量と存在感が違う。クレタ流なんでしょうか?
アテネのムサカはベシャメルソースの存在感が薄い気がします。
とはいえ、ミートソースにオリーブオイルを使わないというわたしのやり方が正しいことは確認できました。「ビザンティーノ」もたぶん使っていません。

ほかの料理はふつうにおいしい。
レッツィーナは松ヤニが強いいかにも地酒という感じのもの。
娘は「美大時代のテレピン油のにおいを思い出してだめだ」と拒絶。
まあ、エギナ島と「ビザンティーノ」でレッツィーナの両極端を一日のうちに知ることができたのはいい文化体験なんじゃないかな。




2014年8月23日土曜日

2014夏・ギリシア(その1)


家族3人でギリシアに行ってきました。
移動時間が長いので実質は4泊5日。

わたしのこれまでのギリシア旅行は、
1990年の夏、ひとりで1ヶ月ギリシア旅行。
そしてK先生企画の2週間のツアーに2回。2回とも年末年始でした。
(2回目のこのツアーについてはこのブログのいちばん最初に9回にわたって詳しく書きました)

わたしは4度目ですが、妻と娘はギリシアはじめて。
ですから、あまりせわしくなく、しかし限られた日数で目玉は押さえるような計画を立てました。

お膳立てされたツアーと違って、自分たちで動かなければならない分、
ツアーではわからない発見もけっこうありました。


以下は備忘録を兼ねた旅行記。
ギリシアを旅行する方の参考になれば幸いです。



その前に、エミレーツ航空のことを書かなくては。

安かったのでアラブ首長国連邦のエミレーツにしました。
利用するのははじめて。
ドバイでの中継で4時間待ちます。
それが難点なのですが、それ以外はけっこう満足。

CAの制服がかっこいい。ベージュのスカートのプリーツ内側が赤。
赤い帽子に、はすかいにかけた(と言うのでしょうか、右から顎の下を通って左に絞ってまわしている)白いヴェール。
このヴェールがいかにもイスラム圏らしいおしゃれな感じです。

機内食まあまあ。
赤ワインが2種類あって、特にスペインのリオハの赤はおいしかった。
機内キットにはアイマスク・靴を脱いだとき用の靴下・歯磨きセットが入っている。
機内のサービスも良い。BAなんかと大違いです。

(脇道ですが、アリタリア航空は別の意味でサービスよかった。CAたちがペチャペチャしゃべりどおしで「うるせーなー」と思っていたのですが、みんなが寝てるときにワインが飲みたくなって最後部のCAの詰め所に行って「赤ワインをくれ」と言ったら、ニッコリ笑ってフルボトルを1本差し出してくれた! さすがワインの国、とてもおいしい赤でした。ドリンクサービスの赤とは違う奴だった気がする。自分たち用だったのか?)



ドバイ空港は石油長者国にふさわしい近未来的な巨大な建物。
成田に帰り着いたとき「あ、田舎の空港だ」と思ったくらい。
エアコンががんがん効いてます。
アラブ系・黒人・白人・アジア系とさまざまな空港職員がかなりの数いてみんな親切。
イタリアの空港では考えられないくらい治安がいい。
(向かいの寝椅子にいたイスラム圏の女性三人組は荷物をしばらく置きっ放しにしてファーストフードを買いに行ってました。真似しないようにね)
熟睡してる人もかなりいる。それくらい安心です(でももう一度書いときますが、安心しすぎないでね)。

離陸したあと、見下ろすアラビア砂漠がピンク色なのにびっくりしました。


では旅行記本編に入ります。




8月16日 アテネ


午後、アテネの空港に到着。
地下鉄でホテルに向かいます。

今回の旅行で、アテネは地下鉄が便利だ、とわかりました。
特に夏は強烈な日差しから逃れられてうれしい。


ただしいろんな旅行案内に書いてあるとおり、スリには注意。あやしいのがけっこういます。娘は体の前に抱えていたバックパックのジッパーを、ローティーンの少年に開けられました(金目のものは何もはいっていなかった)。わたしがにらみつけたせいか、発車前だったので少年、ドアを飛び出して脱兎のごとく走って逃げていきました。

わたしたちが出会ったのはそういうレベルのスリくらい。イタリアのような集団で手の込んだスリには出会いませんでした(あくまで数日間の体験にすぎませんが)。
用心を怠らず、胸を張って堂々としていることが肝要かと思います。



ホテルはシンタグマ広場すぐそばの「アレトゥーサ」。
雰囲気まるでなしのそっけないホテルですが、何より場所が便利だし、従業員は親切。
警察署が向かいにあるので治安も安心(夜、パトカー、というより装甲車みたいな奴、のエンジン音がうるさかったですが)。

デルポイに一泊出かけるときも、最終日にアゴラを見物するときも、
チェックアウトのあとスーツケースを預かってくれました。
「預かる」と言っても、ま、地下に積んでおくだけなんですが。
みんな勝手に積み上げては引き出し、という感じです。
(もちろん貴重品を入れるべきでないのは言うまでもありません)



アクロポリス登り口。
雲一つない空に強烈な
日を浴びて柱が輝く。
パルテノン神殿。
修復中で風情がいまひとつ。
チェックインのあと、プラカ(土産物屋やタベルナが並ぶにぎやかな旧市街)を冷やかしながらアクロポリスへ。

やはり夏のギリシアの日差しは強烈です。
日本と違って湿気がないので不快ではないのですが、その分、汗が出るそばから乾くので汗が出ているのに気づかず、脱水症状に陥る危険性があります。
ミネラルウォーター必携
500mlでたいてい50ユーロセント。
日陰に入ると気持ちいいのですが、アクロポリスに日陰はほとんどありません。

アクロポリスから見下ろすアレスの丘(中央の岩山)
麓に、ギリシア悲劇・喜劇が上演されたディオニュソス劇場、長老たちが殺人事件の裁判をした「アレスの丘(アレオパゴス)」を見下ろせます。
向かいにはフィロパポスの丘、(方角は違いますが)リュカベットスの丘。
広がるアテネの街、さらに遠くには、プラトンの哲学学校アカデメイアがあった林まで見渡せます。


パルテノン神殿を見終わって下ったところに
「Frozen lemonade! 」
とおっさんが連呼している店がある。

「水はないのか?」と尋ねると「ない」。
仕方なく買ったレモネード、熱した体にしみ通っておいしい。
ビッグサイズです。
わたしたちのあとからも「水はないのか?」「ない」「ではレモネードを」という客がけっこういた。夏は大繁盛まちがいない。アクロポリスに登る前にミネラルウォーターを購入しておいてください(遺跡内に売店はない。わたしたちは500mlのボトルをそれぞれ持っていましたがそれでは足りません。フローズン・レモネードを買うはめになります)。



アレスの丘
プラカにさしかかる
公園の猫
アクロポリスを出たあと、先ほど上から見たアレスの丘(アレオパゴス)を見、アゴラを見下ろしながらプラカの細い路地へと進みます。
この辺に来ると日陰が多いから楽。



プラカでいちばんにぎやかなキダシネオン通りやアドリアヌー通りよりアクロポリスに近い、やや静かなあたりでタベルナ(レストラン)を探しました。

「ト・カフェニオン」

古代ギリシア史を学んでいる後輩が教えてくれた店が2軒、道を隔てて並んでいます。
どっちもそれなりに良さそう。

悩んでもしょうがないので、下の方の店「ト・カフェニオン」(ΤΟ ΚΑΦΕΝΕΙΟΝ, 1 Epichalmou Street) の屋外テーブル(というか道路をたぶん不法占拠している。プラカでは当たり前なんですが)に座りました。

小さな店で客は地元の人ばかり。
近所のおばさんらしき人がテイクアウトで夕食のおかずを買いに来たりしてます。
絵になる店です(ギリシアのタベルナはたいていそうだけど)。
割に静かな環境で落ち着きます。




頼んだのは 
「グリーク・サラダ」 
「ザジキ」 
「ドルマデス」 
「ミートボールのトマトソース煮込み」の4品と白ワイン。 

どれもおいしかった。 

グリークサラダとザジキ
グリーク・サラダは、フェタという塩気の強いチーズを生野菜の上にのっけたもの。
どの店にもあります。ドレッシングはオリーブオイルと酢(あるいはレモン)、塩気はフェタです。オレガノなどの香料をしっかり効かせてある。

ザジキ(ヨーグルトソース)は、オリーブオイルと乳化させたねっとり濃厚なもの。黒オリーブ、ケーパーをあしらっている。 これをパンにつけて食べます。
(ギリシアでは注文しなくても最初に籠いっぱいのパンが出てきます)


冷やしたドルマデス(ブドウの葉で米や野菜を包んだギリシア風ちまき)、とてもおいしい。ブドウの葉が柔らかい。(興味のある方は「ドルマデスの作り方」を参考にしてください)。


「ト・カフェニオン」の猫
ミートボールのトマトソース煮込みがすばらしかった!!! 

ミートボールは外がカリッとしているのですがフォークを当てるとホロリと崩れます。 

トマトソースが上品に甘くて味わい深い。 

家族と「ハチミツを加えているんじゃないか」という話になったので、

「トマトソースに蜂蜜を加えているのか?」 
と聞いてみたら、 

「いや、フレッシュトマトだけだ。6時間煮込んでいる。どの店にも負けない」 
と答えました。


ここの Malvazia Aromatica(マルヴァジア・アロマティカ)という白ワインが抜群においしかった。 

口に含むといろんな花の香りが鼻に抜ける、豊かな味わいの白。 あまり経験のないタイプの白です。

あとで酒屋で探したのですがみつかりません。メニューの写真を撮っていたのであとでよく見ると、「ト・カフェニオン」特注のスペシャルもので酒屋では買えないようです。
赤ワインで有名なネメアの産。ネメアは白もおいしい! 


ギリシアのワインは、赤も白もシャブシャブしていて、料理といっしょにザブザブ飲む軽いもの(悪くいえばたいしたことない田舎ワイン)という印象が強かったのですが、 今回の旅行でギリシアのワインの認識を新たにしました。 

「ト・カフェニオン」のだけでなく、意外にしっかりブーケとボディーがある。 
ただの田舎ワインばかりじゃないんだ、ということがわかりました。 


あ、そうそう。 
「ト・カフェニオン」はパンもとてもおいしかった。 


7時頃入店したときはまだ明るかったのですが、
ゆったり食事を終えたときには店の入口の灯りがともっています。



暮れなずむプラカをぶらぶらしながらホテルに向かいます。

途中、なかなかいい落書き(塗装?)の小路に行き当たりました。
見上げると靴が右写真のように干してあります。
(なんと二日後に通りかかったときも靴は干したままだった!)








2014年8月1日金曜日

ユリの花と豚肉の炒め物

金針菜(きんしんさい)はユリの花を乾燥させたものです。
炒め物にこれを入れると独特の香りと食感がパンチを効かせてくれます。

今日のは、中華定番の「豚肉キクラゲ卵炒め」のヴァリエーション。
青野菜はなんでもいいんですが多すぎない方がいいと思います。



ユリの花と豚肉の炒め物の作り方



《材料》(3人分)

豚バラ肉細切れ     180g
金針菜(ユリの花)   15~20g
タマネギ        半個
青野菜(今回はチンゲンサイ)  適量(半束以下)
サヤインゲン      数本
卵           3個

ニンニク、ショウガ   各1片
鶏ガラスープ      大さじ3杯
塩           適量
醤油          小さじ1
紹興酒         大さじ2
オイスターソース    小さじ1
水溶き片栗粉      片栗粉大さじ1を適量の水で溶いておく

サラダ油        適量
ゴマ油         少々

【下準備
1) 金針菜はぬるま湯で10分ほどもどし、つけ根の固い部分を切り取る。

2) 豚肉は一口大に、タマネギ、青野菜はザク切り(青野菜の茎の部分と葉の部分は分けておく)。

3) サヤインゲンは軽くゆでて適当に切る(なくても可)。

4) ガラスープ、紹興酒大さじ1、醤油小さじ1のソースを作っておく。

5) 卵を溶く

【炒める】
1) 中華鍋を煙が出るまで熱してサラダ油を入れ、溶き卵を入れて強火でいっきに炒めたら取り出しておく。

2) 手早く鍋を洗い、ふたたび煙が出るまで熱してサラダ油を入れたら、塩をひとつまみ強入れる。

3) 豚肉を入れて紹興酒大さじ1をふり、ほぐすように炒める。だいたい火が通ったらちょっと脇に寄せて、空いたところにニンニクショウガを入れ、全体をかき混ぜる。

4) ユリの花、タマネギを入れてザザっとあえ、ソースを加え、さらに少し炒める。

5) 青菜の茎の部分を入れ、数呼吸置いて葉の部分を加える。ひと混ぜしたところで水溶き片栗を加え、さらに卵を戻して混ぜる(できれば数度鍋をあおる)。

6) ゴマ油とオイスターソースをたらしたら火を止め、二度ほど鍋をあおって完成。

中華の炒め物は終始強火でいっきに仕上げます。
実は卵が2個しかなかった。実際はこれより卵多め。
豚肉もバラ肉じゃない。
冷蔵庫にあるもので作ってるのであしからず。








タラモサラダ

7月は忙しくて更新できませんでした。情けない。


さて今日のタラモサラダはギリシアの前菜。

ギリシアのタベルナ(レストラン)に入ると、パンをかごに山盛りにして出してきます。これにタラモサラダを塗って白ワインとかレッツィーナ(松ヤニの香りをつけた白ワイン)とかを飲みながら食べる。そうやっておしゃべりしながら料理が来るのを待ちます。

下のレシピの分量はあくまで目安です。
オリーブオイルの分量の多さにびっくりするかもしれませんが、
オリーブオイルが少ないとまずい
舌触りが悪くなります。



タラモサラダの作り方



《材料》(数人分)
バゲットなど      適量を薄切りに。

ジャガイモ       大3個
タラコ         3腹
EVオリーブオイル      1カップ以上
レモン         櫛形に切ったのを2切れ
タマネギ        1/3個(細かく刻んで軽く絞っておく)
塩           適量


【1 マッシュポテトを作る】
ジャガイモをゆでて皮をむき、マッシュポテトを作ります。

ちなみにわたしはまな板の上で中華包丁ですりつぶしてます。
あっという間にマッシュポテトができる。
テレビで中国の料理人がやってるのを見て、以後、このやり方です。
ただ、中華包丁は切れるのでこのやり方をするならくれぐれも手を切らないようにご用心。


【2 混ぜる】
1) マッシュポテトを入れたボールを、一回り大きなボールに氷水を入れた中に入れて冷やす。(水が多すぎると内側のボールに入って台無しになるので気をつけて)

2) タラコに縦に包丁を入れ、指でしごくようにマッシュポテトに入れる(皮は捨てます)。

3) オリーブオイルとタマネギを入れ、レモンを搾ってフォークで混ぜる。
味見をして足りないようならレモンや塩を加える。


上にミントの葉を2〜3枚、飾りとしてあしらうときれい。(今日は客がいないし、めんどくさいので省略しました)



【3 完成】
器に盛って完成。
パンにつけていただきます。


今日のワインはスペインの赤「トリデンテ・テンプラニーリョ 2010」。
どっしり迫力のフルボディー。

ここ数年のスペインワインの躍進には目を見張るものがあります。
昔はスペインの赤と言えばリオハ州だったのですが、
今やリオハもまっ青になるくらい (?)
他の地域もがんばってます。
特にアラゴン州とカスティーリャ州。

今日の「トリデンテ」はカスティーリャ州です。
熟した果実香。苔やなめし皮、タンニンと深みのある苦み・酸味。

同じくらいの味をフランスワインで探すと4〜5千円すると思います。
最近はスペインワインが多いな。
安くておいしくてバライエティがあります。