14日の夕刊にレジナルド・ヒルの死亡記事が出ていた。享年75歳。
イギリスの推理小説作家です。
わたしはイギリスの刑事物が好きで、P.D.ジェイムズ、コリン・デクスターなどめぼしいものはだいたい読んでいます。
拳銃ドンパチのアクションはほとんどありませんが、人間観の複雑さがイギリス推理小説の魅力です。
上にあげた作家たちは、コンビを組んだ刑事たちを主人公にしたシリーズものを書いていることが多い。亡くなったレジナルド・ヒルは、ダルジール警視とパスコー主任警部のコンビ。
テレビドラマの『相棒』は、あきらかにこれらの作品に大きな影響を受けています。
さて、レジナルド・ヒルのダルジール警視は、その中でも異色。
中流階級の出身で、一言で言うと下品。 太った巨体もことば使いも。
部下のパスコー主任警部は、まじめなエリート。
ダルジールは、パスコーをしょっちゅう皮肉る。いじめに近いくらい。
パスコーはけっこう上手にそれを受け流す。
お下劣なダルジールは、しかし人間の闇を見抜く洞察力の持ち主でもあります。
事件を通じて、人間の複雑さ、せつなさが浮かび上がってきます。
やはり『骨と沈黙』が最高でしょうか。
結末がせつなく美しい。
わたしがいちばん好きなのはP・D・ジェイムズなのですが、皆さんにはおすすめできません。翻訳がよくないのです。
わたしは英語力をためすときにはP・D・ジェイムズを読ませます。これがわかれば上級だと思う。イギリス人ってこんなに皮肉に、かつ、しれっと人間を見ているんだなあ、ということがよくわかるひねりにひねった文体なんですが、翻訳者が原文のヒューモアや笑いやひねりをわかっていない。誤訳が多い。というか、わかっていないから日本語の文になっていないところがたくさんある。残念。
(追記:2チャンネル11/2月に「『ある殺意』全面改訳版、読みやすくてビックリした 」との書き込みあり。これは目を通していません。他の作品も改訳がすすんでいるのかもしれません)
というわけで、おすすめはレジナルド・ヒル。その次がコリン・デクスターかな。
レジナルド・ヒルさんのご冥福を祈ります。 合掌。
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