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2014年11月3日月曜日

タコの溺れ煮パスタ

マラドーナと間違えられた男


タコのトマトソースパスタですが、本場ナポリでは「タコの溺れ煮」と呼ぶそうです。

大学の後輩からこの料理を教えてもらいました。
イタリア料理は地方ごとにずいぶん異なります。
それを知らなかった後輩はナポリに行ったとき、イカ墨のパスタを注文した。
そしたら店員は
「それはヴェネチアのパスタだ。ナポリにそんなものはない。『タコの溺れ煮』にしなさい」。

それはそれはおいしいパスタだったそうです。

余談ですが、タコの溺れ煮を食べていると、
隣のテーブルの団体が後輩を見てひそひそ話をしている。
やがてウェイターがやって来て
「ひょっとしてあなたはマラドーナか?」

後輩が「シ(そうだ)」と答えると隣のテーブルがどよめいた。
本人かどうかみんなで賭をしてたらしい。

後輩はもちろん
「今のは冗談である。日本人だ」
と訂正したそうですが。
体格も風貌もそれくらいマラドーナに似た後輩でした。

閑話休題(あだしごとはさておき)。

ナポリではフレッシュトマトでタコを柔らかくなるまで数時間煮込むそうです。
和食では海鮮ものは「素材を活かすため」できるだけ短時間でつくります。
イタリアンは発想が違う。
海産物のうま味をソースに移す。和食とは違う「素材の活かし方」だと思います。

タコのうま味がしみ出たコクのあるフレッシュトマトのソースが肝ですが、
夏じゃないのでおいしい完熟トマトが手に入りません。
今回は邪道ですが、水煮トマトと、コクを出すために塩漬けグリーンオリーブを足しました。夏なら使わないでフレッシュトマトだけで作るのが本道です。

裏返して底からも叩きます
わたしの工夫その1は、タコのたたき方。
ギリシアなんかではタコを岸壁にバンバンたたきつけてフワフワに柔らかくします。
漁師町に住んでいないかぎりそんな真似はできないので、
半解凍状態の茹でだこをパックのまま麺棒でたたきます
布巾で包んでやるより手間がかかりません。
煮込む時間も短縮できます。

工夫その2は、ナンプラーでコクを出すこと。
これはたぶん邪道じゃない。
ナポリ近郊にはローマ時代以来のフィッシュソース「ガルム」を使う地域がありますから。


タコの溺れ煮パスタの作り方



材料(3人分)
パスタ          300g(ゆで時間5~6分のもの)

ゆで蛸(または蒸し蛸)  400gくらい
タマネギ         1/2個
セロリの葉と茎      1/3本分くらい
トマト水煮缶       1缶
トマト          2個
乾燥トマト        2枚
パセリ          適量
ニンニク         1片
塩漬けグリーンオリーブ  5~6個(トマトが完熟でおいしければ使わない)

白ワイン(または純米酒)   大さじ3
EVオリーブオイル 

黒胡椒
ナンプラー          大さじ1



【材料の下準備】
(1) ゆで蛸は冷凍しておいて、「もうちょっとで解凍かな?」というくらいまで解凍する。

(2) タマネギ、セロリ、パセリはみじん切り。(わたしはイタリア料理に欠かせないセロリは刻んで冷凍しておきます)

(3) ニンニクもみじん切り。(わたしは皮つきのまま包丁の腹で潰してから皮をむき、みじん切りにします。この方がめんどくさくないし香りが良く出る)

(4) 塩漬けグリーンオリーブを使う場合は適当に輪切りにする。


【ソースを作る】
(1) 解凍しかけのゆで蛸をパックのまま麺棒でバンバン叩いたあとで、ぶつ切りにする。


最初はこれくらい
水分があります
(2) フライパンにオリーブオイルとニンニクを入れ、中弱火でニンニクの香りをオイルに移す。

(3) タマネギとセロリを入れてタマネギが半透明になるまで炒める。タコと白ワイン(または純米酒)を加え、アルコール分が飛んでから、トマト缶とトマトを加える。乾燥トマトは調理バサミで切って加える。

(4) 塩とナンプラー、胡椒で味をつけながら煮込む。グリーンオリーブを使う場合もこのとき入れる。



これくらいまで水分を飛ばす
30分は煮込んだ方がいいと思います。
煮込んで水分が飛ぶのを考慮に入れて塩加減をするようにしてください。

頃を見計らってパスタの湯を塩をしっかり入れて沸かしはじめる。




【仕上げ】
パスタを指定時間より1分30秒短く茹でる。パスタがゆで上がる直前にソースにゆで汁お玉1杯分とパセリを入れ、ざっと混ぜる。
パスタがゆで上がったら湯切りしてソースの中に入れ激しくあおる。またはトングで激しくかき混ぜる。ソースを短時間でしっかりパスタに食い込ませるためです。火は強火。

お皿に盛ったら完成。
好みで上質のEVオリーブオイルをかけ回して食べる。



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