ステレオタイプの弊害——『相棒』Season13「妹よ」
陣川警部補が登場する『相棒』は感心しない。
『相棒』のさまざまなサブの登場人物たちはもちろんそれぞれタイプを割り当てられている。怒りっぽいポーズを必要以上に取りたがる伊丹巡査部長だとか、ちょっとオタクっぽい鑑識課の米沢守だとか。
しかし伊丹も米沢も、割り当てられたタイプからはみ出る部分をときおり見せる。そのはみだしが単なるステレオタイプを超えた、人間としての奥行きを感じさせる。
伊丹巡査部長の怒りっぽさが実は彼のシャイな性格のあらわれなんだとわかってくるとかです。
なぜか陣川君は「お調子者でおバカだが愛すべきひょうきん者」というステレオタイプから一歩もはみ出さない。
『相棒』の脚本家をていねいに確認しているわけじゃないのですが、陣川君を一人の脚本家が専属で書いてるのではないと想像する。その想像が正しければ、
なぜか陣川君という題材を前にすると脚本家たちは硬直しちゃう気がする。
崩すことを最初から放棄している気がする。
今日は陣川君の妹が出てきたので、
陣川君の新しい一面が出てくるのではないかと少し期待しました。
期待は外れました。
どころか、
妹まで、最後まで絵に描いたような、いかにも「陣川君の妹」であるのにもがっかりしました。善人兄妹。
水崎綾女は善女におさまりきらない怪しい味を持っているのに活かしきっていない。
「期待外れ」と書きましたが、冒頭で陣川君登場した時点からたいして期待はしてなかったので予想通りとも言えます。
でも今度こそはステレオタイプをはみ出してくれるんじゃないかというほのかな期待はあったのです。
陣川君の魔力恐るべし。魔力に抗する脚本家あらわれよ!
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