2014年6月15日日曜日

日本西洋古典学会 in Kyoto

ものものしいタイトルですがもちろん公式記録ではなく、単なる日記です。

西洋古典学会は、古代ギリシア・ローマの文学・歴史・哲学・考古学・美術の研究者が一同に会する学会です。研究発表は古代ギリシア語、ラテン語のテキストをあつかいます。先週末に京都女子大学で二日間にわたって開催されました。



一昨年の学会の時に味をしめて木屋町近くのホテルを取りました。
飲んですぐ部屋に帰って寝られる。

一昨年ふらりと立ち寄った「Brand New」というバーの話は前に書いたことがあります(Bar in Kyoto)。
また行きたくなって、学会前夜、酔客でさんざめく木屋町を探しまわりました。

ようやく見つけてドアを開けると、客はだれもいない。


一人で店を切り回しているバーテンダーはわたしを覚えていてくれて、けっこう長話しました。 バーテンダー、客が少ないのと、手首を骨折してリハビリ中なのでシェーカーが振れないのとで、ちょっと元気がない。 

おしゃれなバーじゃありません。 
仕事帰りにパッと立ち寄って適度にこだわった品揃えの棚から1~2杯くつろいで飲んで家に帰る、 
そんな感じのバーです。 

そういう飲み方をする人がもう数えるほどしかいない、とマスター嘆く。 
「木屋町、若い人ばっかりでしょ。大人が遊ばなくてどうすんねん」 
とシャイに怒ってる。 

わたしもそう思います。 
バー、楽しいのに。

「いいシングルモルトがあるんですよ」 
と勧めてくれたのが写真の「宇都宮モルト」。 

宇都宮はギョウザくらいしか思い浮かばないのですが、実はカクテルの町でもあるそうで、いいバーがいっぱいあるらしい。 
そのバーが共同でスコッチの酒蔵に製造委託したのが「宇都宮モルト」。 

角がなく、柔らかな香りのすばらしいシングルモルト。 
ダブルで飲んで、 そのあとシェーカーを振らなくていいカクテルと、焼酎を飲んでたら 
「お客さん、お強いですね」 
と言う。 

一瞬わからず「えっ??」と言うと、 
「さっきの宇都宮モルト、52度あるんですよ」。 

信じられない! 
あまりにマイルドで気づかなかった。 




翌朝からはじまった学会はいつものように刺激的なものでした。

シンポジウム『イーリアス』は、研究発表だけでなく、
講談師、宝井琴星(たからいきんせい) 「講談『イーリアス』」を披露。 

「やおらメネラーオス、だっと槍を投げつけますれば、 
パリス、さっと楯で防ぎますが、 
なんと槍はぶっすりと楯を貫き、 
あわやという所で皮一枚を傷つけてようやく止まります。 
慌てふためいたパリス、だだだだっと後ろにのけぞって・・・」 

という名調子(記憶で書いているので正確ではありませんが)に会場は大盛り上がり。 

その後のディスカッションも、学者、琴星先生お互いの立場から自由闊達にホメロス『イーリアス』を論じる楽しいものでした。 



夕方から懇親会のあと、京都の町に繰り出します。 

京都、おいしい。 
というか平均値が高い気がします。 
「ふつうの店」が東京のふつうの店より絶対においしい。 
おばんざいもさることながら、わたしは京都の天ぷらの揚げ具合が好きです。

しこたま飲んで解散のあと、シングルモルト好きの後輩、K君を連れて 
二夜連続で「Brand New」へ。 
今度は地元のお客さんがいた。 よかった!

店を出たのは2時近く。 

(おそろしいことに「Brand New」は3軒目だったらしい。2軒目、覚えてないのです。
「えっ、歩きのオスさん、2軒目の沖縄料理の店、覚えてないんですか?」
と言われて、「ミミガーが食べたいっ!」と叫んでいたことだけ思い出しました。
ミミガー、ちゃんと食べたんだろうか)



翌日は 
朝、酔い覚ましに会場近くの三十三間堂を久しぶりに見学。 

前は気づかったけれど、千体仏けっこうおもしろい。 

風神は、俵屋宗達の布きれと違って、細長いけれどちゃんとした風の袋を持っている。 

(ギリシアの風の神アイオロスが風神の原型で、ギリシアでは丸い袋だったのですが、 
中東→インド→中国→日本の経路で袋がどんどん小さく簡略化されていくのです。 
俵屋宗達の「風神雷神図屏風」はその簡略化の頂点です) 

三十三間堂のはインド系の仏像なんですね。 
そういうことは若いときには気づきませんでした。 



昼休みに十数人ちょっとで近くの洋食屋に。
ほかの学会員もちらほらやってくる。

予想もしない客の入りに店はてんてこまい
一人だけの接客の女の子、走り回っている。
炊飯器が小さいらしくご飯が追いつかない。

私たちのテーブルはキッチンの近くだったので、大将夫妻のあわてぶりも伝わってくる。
女の子「ナイフとフォークがもうありません!」
大将「箸で行け!」
そんな英断が克明に聞こえてきます。

時間がかかるから注文をキャンセルする客が続出して女の子は謝りっぱなし。

わたしたちもデザートのプリンは来なかったし、仲間の1人には炊きたてで蒸らしていないご飯が出てきた。

でも店の大騒動と数々の英断をけっこう楽しませてもらいました。
いやーー、大変だったろうな。



学会が終わって、夕方の京都駅で食事と酒。
新幹線まで時間が限られているから、と 
みんなものすごいペースで飲む、食べる、しゃべる。 


新幹線でとろっと眠って目が覚めたら 
後輩のK君とKさんが 
「もう少し飲みたくないですか」 
というので吉祥寺のバーへ。 

12時まで飲んでしゃべってました。 


ものすごい酒量の2泊3日だったなーー。 
いや、ちゃんと勉強もしましたが。






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