2020年10月28日水曜日

フリカッセ(羊肉のレモンソース)

ギリシアのメインディッシュ。

圧力鍋で作ります(無水鍋とか電子レンジとかでもできるかもしれませんがやったことがない)。羊肉を箸で食べられるくらいまでホロホロにするためです。

「エピキュリアン」のフリカッセ

ギリシアでは店ごとにソースがいろいろで、わたしがいちばんおいしいと思ったのはデルフィーのタベルナ (レストラン)「エピキュリアン」のそれ。
レモン風味のソースで、東地中海でよく食べる「ホルタ」という、癖のある苦い青菜の刻んだのを混ぜてありました。
ホルタは手に入らないので春菊を使います。春菊の代わりにワサビ菜でもいい

あらためて「エピキュリアン」のフリカッセの写真を見ると、レモンと言うよりオレンジの色をしています。でも味の記憶はレモン。それで一度、レモンといっしょにオレンジを半個ほどしぼってソースを作ってみましたが、レモンだけのと劇的な違いはなかった。

というわけで、春菊入りレモンソースがわたしの定番。





フリカッセ (羊肉の春菊入りレモンソース) の作り方

《材料》(3~4人分)

ラム肩ロースブロック  600~700g(2ブロック。ジンギスカン用の肩ロース薄切り
       置いている肉屋だと、店頭に出てなくても頼めば奥で切ってくれることが
       多い)
タマネギ     1/2~1個
セロリ、ニンジンなど野菜の残りをタマネギと同量くらい
塩        適量(多め)
黒胡椒      適量
ニンニク     1片(なくても可)

ガラスープ    適量(計ったことがない。ソース用です。120ccくらい?)
春菊       2〜3本(ワサビ菜を使う場合にはこれより多め。縮むから)
白ワイン (または純米酒)  大さじ2
レモン      1/2個
オリーブオイル  適量
水溶き片栗粉   適量(大さじ2くらい作っておく。あまったら捨てる)

飾りの野菜    ワサビ菜の場合は少量残しておけばよい。あるいはパセリとか。少量

【作る

1) タマネギは輪切り。セロリ・ニンジンなどは適当な乱切りに。これを圧力鍋の底に敷き詰める。
これらはラムの臭みを吸うので食べない。だから冷蔵庫に残っているくず野菜が最適です。キャベツの芯とかね。ニンニクを使うなら包丁の腹で潰してから刻んで散らす(わたしは最近使ってません)。

肉の蒸し上がり

2) ラムブロックに塩をたっぷりとすり込む。黒こしょうもやや多めに。

味つけはほぼこの塩だけなのでできればよい塩を使うこと。
10分くらい置いて塩を肉になじませます。

3) 鍋底の野菜が半分弱かぶるくらいの水 (材料表記外) を回しかけ、野菜の上にラムブロックを置いて、圧力鍋の蓋をして説明書通りに蒸気を回したら 30分煮る。

ここまでの作業はほかの料理にも応用できます。豚肉のブロックを使えば「プルド・ポーク」になる(粒マスタードをつけて食べるととてもおいしい)。

4) 圧力鍋がシューシューいっている30分は暇です。
つけ合わせのサラダやマッシュポテトを作ったり、バゲットを切ったりしてください。

5) 圧力鍋の火を止めて蒸気が収まるまでの時間にソースを作ります。
小鍋かソースパンにガラスープを沸かし(その間に春菊かワサビ菜を刻む)、
白ワインか純米酒を加えて強火でアルコール分を飛ばす。

レモンを搾り入れて味見をする。
「肉にしっかり塩味を、そしてソースは控えめに」が鉄則ですので、
強い塩味はつけない。

オリーブオイルを少量垂らしてかき混ぜ、水分と油分を乳化させる。


少しずつ水溶き片栗粉を混ぜる。堅すぎないように。


【完成】
トングで鍋の肉を皿に移し、レモンソースをかけ回す。
 (上にかいたように鍋に残った野菜と水分は臭みを吸い取っているのでかわいそうだが
  捨てます)

飾り野菜を散らしたら完成です。
 (今回はワサビ菜を使いましたが、使い切ろうとして飾り野菜が多すぎた気がします。
  肉をしっかり見せた方が良かった)








2020年10月26日月曜日

ジャガイモの中国風サラダ

中国人母娘がやっている三鷹の居酒屋ではじめて食べました。

その店のは、ジャガイモをさっと茹でて油と塩だけで味つけした素朴なものだったのですが、とてもおいしかった。

ネットで調べると、中国の家庭菜のようです。それをわたしなりにアレンジしました。

ジャガイモのゆで時間は、ネットに出ていた記事では「10秒」などとありますが、それはたぶん、中華料理店なんかの大鍋でやるからだと思います。家庭の中くらいの鍋を使うとジャガイモで湯の温度が下がるのでゴリゴリです。

何度か作った今のところの結論は30秒

それを氷水で一気に冷やすのですが、
鍋のお湯がジャガイモだけではもったいない。
で、その同じ鍋で少量の春菊をさっと茹でて足します。
この分量が多いとジャガイモが主役じゃなくなってしまう。
ジャガイモ大1個に3,4本かな。彩り程度です。

味つけは油と塩と干しエビだけなのですが、
油は大事だと思う。
エゴマ油とかグレープシードオイルとかでもいいと思いますが、
わたしは常備している「葱油(ツォンユー)」を使います。
作り置きして中華全般に使う。これを使うと料理がひと味違います。

そこでまずは葱油の作り方

サラダ油に、白ネギの葉の部分1~2本分、ショウガ1片を薄切りにしたもの、
実山椒ひとつまみを入れて中火にかける。葱がしわしわになったらできあがりです。
粗熱が取れたら葱とショウガを箸で取り出したあと、漏斗 (じょうご) で瓶に移す。
実山椒が気になるようなら漏斗にキッチンペーパーを入れて漉す。

冷蔵庫に入れておく方が無難かな。


で、いよいよジャガイモサラダの作り方です。
(「作り方」というほどたいそうなもんじゃないけど)

ジャガイモの中国風サラダの作り方

《材料》

ジャガイモ    大1個
春菊                      3, 4本
干しエビ     5個くらい

紹興酒                        小さじ1くらい
葱油と塩                    適宜             


【作り方】

1) ジャガイモの皮をむき千六本に切る(包丁でいいけど、わたしはズボラなので千六本に切る道具を使います)。

2) 湯を沸かし始める。

3) 干しエビは少量のぬるま湯で戻す。しばらくしたら湯を捨てて紹興酒をかけてなじませる(匂いとりのためです)。
ジャガイモを茹でる前に干しエビを細かくきざみ、春菊も洗ってキッチンペーパーで水気を取っておく。

ザルをトングでつかんで
茹でてます

4) 湯が沸いたらザルに入れたジャガイモを茹でる。
強火にして30秒で取り出し(鍋の火は弱火にしてとめない)
あらかじめ用意しておいた氷水につけ、すばやく冷やす。


ザルの中にも氷を放り込むと早く冷えます。

5) 鍋の湯に春菊を入れ、5秒ほどで取り出し、水で冷やして軽くしぼったら細かく刻む。

6) ボールに水気を切ったジャガイモ、春菊、干しエビを入れ、
葱油をかけ回し、塩を振って全体を混ぜる。
味見をする。
完成です。



2020年10月21日水曜日

プレゼンス——『相棒』Season19

 (ネタバレあり。注意)

Season19最初のエピソードは前後編の長尺。
『相棒』がお休みの間に続々とテレビにあふれていた刑事物のほとんどは凡庸なものだったなか、完成度の高さで群を抜いていた『MIU404』。
『相棒』はこれにどう対抗できるんだろうかと思っていました。

白バイ警官出雲麗音(いずもれおん)の狙撃犯は誰なのか。
犯人探しのストーリーとしてはそれなりに練ってある。

人間ドラマとしても、実行犯とその恋人の未来が見えない生活の切なさが、
ビルの壁をよじ登って転落した恋人のスパイダーマンの衣装を通じて
押しつけがましくなく描かれていた。

及第点だとは思うのだけれど、
まず、推理ドラマとして腑に落ちない(あるいは説明不足の)点が二つある。

ひとつ目は、ヴァーチャルな世界「ネオ・ジパング」とリアルな世界の人物との関係。
右京と亘が自由に「ネオ・ジパング」に出入りできたのはどうして?
また、「ネオ・ジパング」のようなヴァーチャルな世界で人物たちがリアルな姿のままで動き回っているのは設定として迂闊ではないのか?
このような世界ではアバターとして変身して動き回るんじゃないの?
(まあ、そうしちゃうとヴァーチャル世界での捜査はなりたたなくなってしまうのだろうが)

ふたつ目は。
週刊誌記者風間楓子は「真犯人は女性だ」と実行犯をすっぱ抜く記事を書くのだが、
(そしてそれは当たっているのだが)
風間がどういう根拠で、どういう内容でその記事を書いたのかはいっさい触れられない。
彼女の記事は結末近くで重要な役割を果たしているのに。
右京が推理をリークしたと想像すべきなのだろうが、その点も説明されない。

次にもっと大きなドラマの流れと今回のエピソードの関係について。
これは上に書いた「推理ドラマとしての疵(きず)」とは違って、
わたしの好みの要素が大きい。
だけれども、けっこう多くの人が感じることなんじゃないかと想像するのであえて書くことにします。

このエピソードは以後のストーリーの伏線となる部分が多い。
登場人物がそう。

撃たれた出雲麗音は「謎多き人物」として今後も登場するのだろうが、
えーと、わたしはこの人物が好きになれません。
いやもちろん、フィクションの中の人物としていっているのです。
これから先、出雲麗音を目にしなければならないかと思うと憂鬱になる。

彼女だけではなく、新しく『相棒』の常連になった人間、よくない。

いちばんよくないのは「花の里」を引き継いだ「こてまり」の女将、小出茉莉(森口瑤子)。
別に森口瑤子が嫌いなわけではない。
役柄設定の問題です。

「花の里」の女将を演じた高木沙耶、鈴木杏樹はドラマ外の事情で出演を続けるわけにはいかなったようだが、役柄設定がよかった。
右京もこれまでの相棒たちも、ほかの客がいないにしてもこれ情報漏洩でまずいんじゃないの、という捜査情報を「花の里」で女将に語ってきたのだが、
それは二人の女将たちの人物設定で納得させられるものだった。

でも今度の女将は元芸者の女狐だぜ。
そんな相手に右京と亘はうかつなことはしゃべれないでしょう。
「こてまり」は右京にとって「憩いの場」にはなりえないんじゃないですか。