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2015年9月23日水曜日

さよならとこんにちは——ルノーとエンジンブレーキ

先月、7年近く乗ったルノー・カングーとお別れしました。 

カングー
走行距離13万キロ近く。 
何の故障もないのですが、これだけ走るとトランスミッション、タイミングベルト、マフラーなどが経年劣化で秋の車検でかなりお金がかかる。 
経済状況などをかんがみて泣く泣く買い換えました。 


わたしの初代カングーは、フランスではパン屋さんとか花屋さんとかが使っている実用車です。 漫画『よつばと!』でジャンボという登場人物が乗っていた車です。

内装は鉄板むき出しだし、遮音材もたいして入っていないのでエンジンの音がガンガン響く。騒々しい。 

でも車重が軽いので速い。 
ゼロ発進は特に。
1××kmくらいでいちばん安定して走る。 
おかげで免停になりましたが。 

軽くてうるさくてガンガン走る。 
エンジンブレーキが強力に効くので下り坂や渋滞でほとんどブレーキを踏まなくていい。 
「体に近い」感覚がするすばらしい車でした。 

7月末に穂高に行ったときに 
これが最後だと思って思いっきり走りました。 
道路が空いていたのでアクセルを思いっきり踏む。 
道路に吸いつくように走る。 安定して何の不安もない。 
ああ、なんてすばらしい車なんだ、と思いました。 
お別れするのが悲しくて涙が出てきました。 



で、買い換えですが。

カングーの現行モデルは大型化・ラグジュアリー化していて、乗り心地は羽布団のように柔らかい。 だけれどもわたしには大きすぎて、何より速くない。 

いろいろ試乗してみて、
結局選んだのはルノーのキャプチャー。フランスだと「カプチュール」というんだと思う。 

デザインが気に入りました。 
直線がまったくないんです。 
曲線だけでできている。 
ブルーとアイボリーのツートンカラー。 

でも、決め手になったのは、ルノーならではのサスペンションの柔らかさとエンジンブレーキ。 




2ヶ月弱で、4000km超走ってみて思うのは。

快適でカングーより速いのだけれど、 
あらためて初代カングーがすばらしい車だったと思います。

カーブを曲がるときの「自分の体で曲がっている」というダイレクト感。 
道路のでこぼこだとか、雨がどれくらい路面にたまっているかとか、 
全部伝わってきた。 


キャプチャーは静かで快適で速くてすばらしいのだけれど、そのダイレクト感が不足している。 
車と自分の間に紙一枚はさまっている感じです。 


キャプチャーもフランス車らしく
ふんわり柔らかく、でも路面に張りつくように突っ走る。 
ハンドルから手を放してもいいくらいに直進安定性もある。 

楽ちん。 
これはこれですばらしいのかな。 
そして何より、
ルノー独特のエンジンブレーキはカングーと変わらない美点です。





車を運転する方、 
自分の前を走っている車がオートマかマニュアルか見分けられますか? 
とても大事なことだと思うのですが。 


マニュアルは当たり前ですが自分でギアをチェンジする。 
運転の仕方にもよりますが、ギア・チェンジでスピードを変化させることができるから
加速がいい。 

だけじゃなくて、 

減速がいい。 

こちらの方が大事です。 
エンジン・ブレーキを効かせられるから、フット・ブレーキを使う度合いが少ない。 


何が言いたいかというと、 
「前の車との車間距離をブレーキランプで測ってはいけない」 
ということなんです。 

わたしの車はオートマです。 
でもフランスのオートマはマニュアルにとても近い。 
アクセル・ペダルから足を離すとギアが下に落ちる。 
日本車の反対です。 

長い下り坂や渋滞の時、ほとんどフット・ブレーキを使わなくて済む。 
交差点でもブレーキペダルはまず触りません。エンジン・ブレーキで通り抜けます。 
街道の追い越し車線の流れに乗ったスピードから信号停車するとき、
一回チョンとブレーキ・ペダルに触るだけで、ギアが落ちてガッと減速します。 

要するに、ブレーキ・ランプがつかないあいだもスピードが落ちていく。 


通勤で1日70km以上走っていると、わたしのうしろで慌ててブレーキを踏んでいる車に毎日出会います。 
「1トン超の鉄のかたまりを時速数十キロで動かしているんだから、もっと責任感を持って運転に神経を集中しろ!!!」 「目で車間距離を測れ!」と一人で毒づいています。 


いろんな考え方があって、 
「スピードを落とすときにはブレーキ・ランプで後続車に知らせろ」と言う人がいる。 
それが後続車への親切だ、というわけですね。 

日本車ならそれでいいでしょうが、わたしの車でそんなことをしたらそれこそ急減速して後続車は急ブレーキを踏むことになる。 
減速・停車する目的ではない不必要なブレーキを踏むことができない構造なのです。 
これがフランス合理主義の好きな点なのですが。 

要するに、
ブレーキの考え方が日本車とぜんぜん違うのです。

そういう車のヴァラエティに鈍感な人がいて、 
腹を立ててあおってくることがある。 
高速道路の追い越し車線で遅い車をあおるのは正しいことだとわたしは思っています(その理由は今日はくだくだ書きません)。追い越し車線は追い越すためのものだからです。 

しかし、環八とかの幹線道路だと微妙です。右折するけっこう手前で右側車線に移動しておかないとあせっちゃう。 なので追い越すためではなく車線変更をしておく必要がある。

そういう車がいるのですから、わたしは当然ですが、環八などでは決してあおりません。右車線の流れに乗っていきます。 

ところが 。
上で書いたように、わたしの車がエンジン・ブレーキで減速するのに気づかず、急接近して慌ててブレーキを踏み、あろうことかそれに腹を立ててあおってくる後続車がときどきいるのです。 

そういうときはどうするか? 

相手が迫ってきたら、おもむろにアクセル・ペダルから足を離します。
ブレーキランプが光らずに減速するから、相手は驚いて当然距離をあけます。 
まあ、いくら鈍い奴でも3ブロックこれが続くと、うーーーんと車間距離を取ってくれますね。気の毒になるくらい。 
あるいは嫌がって走行車線に移るか。 

まず、追突はされません(30年間一度もありません)。 
わたしは車間距離をとっているので、追突されそうになると一気に加速します。 
加速はいいのです。ギア比が高いから。 


これはある意味で意地悪です。 
嫌わないでね。 

でも、目を敏感にして運転していないのがいけないんだよ、と思う。 
ブレーキランプが光るのを目安にするのではなく、
自分の目で前の車との距離を観察しろよ。 


この話をマニュアルの中古車に乗っている知人に話したら、 
その知人はうふふ、と笑って 

「わたしもそうしますよー。マニュアル車乗りの密かな楽しみですねー」 

と言っとりました。 



エンジンブレーキとは違いますが、
最近の高級乗用車は2ペダル・マニュアルが増えてます。 
オートマなんだけど、「スポーツ・モード」とかにすると、手元のスイッチでギアチェンジすることができる。運転が好きな人はそっちを使います。 
そうなるとマニュアルと同じでブレーキ・ランプがあまり光らないのです。 
そうやって走っている人けっこういますよ。 

つまり、ブレーキ・ランプが光らないで減速する車は
ルノーやマニュアル車だけではない。


ブレーキ・ランプの光り具合で前の車がマニュアルかオートマかを観察する。 
それに合わせて自分もブレーキを踏む、のではありませんよ。 
自分のブレーキは自分のペースで踏みます。 
安全のためにこの見分けは大事です。 

車種ごとにブレーキの動き方は違う。 
それが入り混じって走っているのが道路なんだ、という想像力を持って欲しいなと思います。 

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